
冬になると、当たり前のように店頭に並ぶ「フリース」。
手頃な価格のものからアウトドアブランドの高機能モデルまでさまざまですが、その歴史をたどっていくと欠かせない存在が**POLARTEC(ポーラテック)**です。
現在ではフリースそのものが一般的な素材名として定着していますが、現代的な化学繊維フリースの原型を生み出したのが、ポーラテックの前身であるアメリカのモールデン・ミルズでした。
そしてポーラテックは、単に「暖かいフリース」を作っているだけではありません。
保温性、軽さ、通気性、速乾性、防風性など、着る環境や用途に合わせてさまざまな生地を開発してきました。
アウトドアウェアだけでなく、アメリカ軍の防寒装備にも採用されていることからも、その実用性の高さが分かります。
VDS BIRDS EYEでも実際に、POLARTECを使用したアメリカ軍のECWCSフリースを長く取り扱っています。
この記事では、ポーラテックとは何なのかという基本から、普通のフリースとの違い、代表的な種類まで、実際にミリタリーウェアを仕入れているバイヤーの視点も交えながら分かりやすく解説します。
この記事でわかること

- ポーラテック(POLARTEC)とはどんな素材ブランドなのか
- フリースがどのように誕生したのか
- 一般的なフリースとポーラテックの違い
- POLARTEC CLASSIC・Thermal Pro・Power Gridなど種類ごとの特徴
- アメリカ軍のECWCSにポーラテックが使われる理由
- 用途に合ったポーラテックの選び方
- ポーラテックを長く着るためのお手入れ方法
💡 ポイント
ポーラテックは「フリース製品のブランド」というより、さまざまな衣料メーカーへ機能素材を供給する素材ブランドとして考えると分かりやすい存在です。
ポーラテック(POLARTEC)とは? 現代のフリースの原型を生んだ素材メーカー

現在では「フリース」という言葉自体がひとつの衣料カテゴリーとして定着しています。
しかし、そのルーツをたどるとポーラテックの歴史と深く結びついています。
もともとは天然ウールのように暖かく、それでいて軽く、濡れても扱いやすい素材を目指して開発されたもの。そこから用途に合わせてさまざまな機能素材へと進化していきました。
アメリカのモールデン・ミルズが開発した高機能素材ブランド
ポーラテックの前身は、アメリカ・マサチューセッツ州の繊維メーカー**Malden Mills(モールデン・ミルズ)**です。
1981年、モールデン・ミルズは「PolarFleece」と呼ばれる合成フリースを開発しました。
従来の天然ウールとは異なり、ポリエステルを使うことで、軽さや保温性、乾きやすさなどを備えた新しい防寒素材が生まれます。
その後、1991年に「Polartec」のブランド名が登場。
現在では単一のフリース生地を指す名称ではなく、保温、通気、防風、吸湿速乾など、それぞれ異なる目的を持った多数の機能素材を展開するブランドになっています。
CORDURA(コーデュラ)やLIMONTA(リモンタ)などを知っている方なら、イメージしやすいかもしれません。
洋服そのもののブランドではなく、洋服に使われる生地・素材側のブランドという位置づけです。
「フリース」という素材そのものを世に出した存在

今では量販店でも普通に見かけるフリースですが、現在の合成繊維フリースにつながる素材が登場したのは1980年代初頭です。
モールデン・ミルズが1981年に生み出したPolarFleeceは、天然ウールとは違う新しい防寒素材として広がっていきました。
1980年代にはアウトドアウェアにも採用され、フリースは登山やアウトドアの世界から徐々に一般へ浸透していきます。
現在の感覚では「フリース=冬に着る手頃な服」というイメージを持っている方も多いと思います。
しかし、ルーツをたどれば、寒い環境で軽く暖かく着るために生まれた高機能素材です。
ここを知ると、ポーラテックを見る目も少し変わってきます。
💡 ポイント
現在では「フリース」は一般名称として使われていますが、その発展の中心にいたのがモールデン・ミルズ、そして現在のPOLARTECです。
ペットボトル再生原料を使うサステナブルな側面
ポーラテックは、リサイクル素材への取り組みも比較的早い段階から進めてきました。
1993年には、使用済みプラスチックを再利用したフリース素材を展開。現在も多くの生地で再生ポリエステルが使われています。
使用済みペットボトルなどを原料として再利用し、再びウェアの素材として活用する仕組みです。
ただし、すべてのPOLARTEC製品がペットボトル由来の再生素材というわけではありません。
製品や生地によって原料や再生素材の割合は異なるため、「POLARTEC=すべてリサイクル素材」と考えるのではなく、素材開発と並行してリサイクル素材の活用を長く進めてきたブランドと考えるのが適切です。
普通のフリースと何が違う?ポーラテックの3つの強み

「ポーラテックもポリエステルのフリースなら、普通のフリースと何が違うの?」
ここが一番気になるところだと思います。
フリースという素材自体は現在さまざまなメーカーが製造しているため、POLARTECだから必ずすべての面で優れている、と単純に比較することはできません。
ポーラテックの大きな特徴は、着る環境や用途を想定して機能を設計していることにあります。
暖かさだけではなく、軽さ、通気性、速乾性、耐久性などを組み合わせ、目的に応じた生地を展開しています。
軽さと保温性のバランス

フリースが防寒着として優れている理由のひとつが、繊維の間に空気を抱え込む構造です。
空気の層を作ることで体から逃げる熱を抑え、比較的軽い生地でも暖かさを得ることができます。
POLARTECのフリースも、重量を必要以上に増やさず保温性を確保することを重視して設計されています。
これはアウトドアだけでなく、日常着でも大きなメリットです。
冬だからと厚く重い服を何枚も重ねるのではなく、軽い防寒着を組み合わせる。
こうした考え方は、後ほど紹介するアメリカ軍の防寒システム「ECWCS」にもつながっています。
汗を溜め込みにくい通気性と速乾性
暖かさだけを求めるなら、生地を厚くすればある程度対応できます。
しかし、歩いたり作業したりすると、人は冬でも汗をかきます。
そこで重要になるのが通気性と乾きやすさです。
POLARTECのフリースは、暖かさを確保しながら湿気を逃がしやすく、濡れた場合にも比較的乾きやすいことを特徴としています。
特にアウトドアやミリタリーでは、「暖かいけれど動くと蒸れる」という服は扱いにくいもの。
そのため、単純な保温力だけではなく、着用中の温度や湿度を調整しやすいことが重要になります。
これは普段着でも同じです。
電車や車、商業施設など、冬でも屋内は暖房が効いています。外では暖かく、室内に入ったら暑すぎるという経験は多いでしょう。
フリースの通気性や速乾性は、こうした日常の温度変化にも相性のいい特徴です。
繰り返し着ることを考えた耐久性
もうひとつ注目したいのが耐久性です。
POLARTECでは、繰り返し着用・洗濯することを前提に、耐久性も重要な性能のひとつとして設計されています。
ただし、「POLARTECなら絶対に毛玉ができない」「何度洗っても新品とまったく同じ」という意味ではありません。
フリースも摩擦を受ける繊維製品なので、着方や洗い方によって表面の変化や毛玉が発生することはあります。
大切なのは、保温性・通気性・速乾性・耐久性まで含めて、衣料として使い続けることを考えて作られているという点です。
フリースの表面と、スウェットなどで使われる「裏毛」「裏起毛」は見た目が似ている場合がありますが、構造や特徴は異なります。
この違いについては、別の記事で詳しく解説しています。
💡 ポイント
POLARTECの魅力は「とにかく暖かい」だけではありません。軽さ・保温性・通気性・速乾性・耐久性を、用途に合わせて設計していることが大きな特徴です。
種類が多くて迷う人へ|代表的なポーラテックの違い

POLARTECを調べていると、「Classic」「Thermal Pro」「Power Grid」「Alpha」など、さまざまな名前が出てきます。
初めて見ると少し複雑ですが、すべて同じフリースの厚さ違いというわけではありません。
保温性を重視したもの、運動時の通気性を重視したもの、風への強さを高めたものなど、着る状況に合わせて異なる生地が開発されています。
ここでは代表的な5種類に絞って、それぞれの特徴を見ていきましょう。
ポーラテック クラシック|フリースの基本となるシリーズ

POLARTECの中でも、いわゆる「フリースらしいフリース」といえるのが基本となるFleece Seriesです。
軽量なMicroや100、中厚手の200、より高い保温性を持つ300といったウェイトに分けられています。
数字が大きくなるほど、基本的には生地が重くなり、保温性も高くなります。
ただし、「100・200・300」という数字が生地の厚さをミリ単位などで直接示しているわけではありません。

選ぶ際には、
100 → 軽量で重ね着しやすい
200 → 保温性と扱いやすさのバランス
300 → より暖かさを重視
くらいに考えると分かりやすいでしょう。
VDS BIRDS EYEで取り扱っているアメリカ軍 ECWCS GEN2 フリースジャケット/フリースパンツには、POLARTEC CLASSIC 300が使われています。
軍用の防寒着として使われるだけあって、しっかりとした厚みと保温性があり、一般的な薄手のフリースとは手に取ったときの印象もかなり違います。
実際の商品を扱っていると、POLARTEC CLASSIC 300が「軽いフリース」というより、きちんと防寒着として成立する素材であることがよく分かります。
💡 ポイント
POLARTEC CLASSIC系を選ぶときは、数字だけで優劣を考えるのではなく、どの程度の保温性と厚みが必要なのかで選ぶのが基本です。

ポーラテック サーマルプロ|表情のある高保温フリース
POLARTEC Thermal Pro(サーマルプロ)は、フリースの保温性をさらに発展させながら、生地表面にもさまざまな表情を持たせたシリーズです。
毛足の長いものや凹凸のあるものなど、生地によって見た目や触り心地が大きく異なるのも特徴。
単純に「Classicより上」というものではなく、編み構造や表面構造を工夫することで、保温性や通気性、耐久性などを用途に合わせて調整しています。
そのため、アウトドアウェアだけでなく、ファッションとして見ても面白い素材です。
フリースというと均一に起毛した表面を想像しがちですが、Thermal Proを見ると「フリースにもこんなに種類があるのか」と感じると思います。
ポーラテック パワーグリッド|軽くて蒸れにくい中間着向け
POLARTEC Power Grid(パワーグリッド)は、生地の内側が格子状になっているのが大きな特徴です。
凹凸を作ることで、生地が肌に触れる面積を抑えながら、空気の通り道を確保しています。
そのため、保温性を持たせながらも軽く、汗や湿気を外へ逃がしやすい。
厚手の防寒着というより、**身体を動かすときのミッドレイヤー(中間着)**として非常に使いやすい素材です。
見た目にも格子状の構造が分かりやすいため、「これがPower Gridか」と判別しやすいシリーズでもあります。
冬の服装は、単純に厚い服を着れば快適になるとは限りません。
歩いたり身体を動かしたりする場面では、暖かさと同じくらい「熱を逃がせること」が重要になります。
Power Gridは、まさにその考え方を分かりやすく体現した素材です。
ポーラテック アルファ|行動中の蒸れを抑えるアクティブインサレーション
POLARTEC Alpha(アルファ)は、一般的なフリースとは少し考え方が異なります。
もともと寒い環境で活動する際に、暖かさを保ちながら過剰な熱や湿気を逃がすことを目的として開発されたアクティブインサレーションです。
通常の防寒着では、動いて身体が温まると暑くなり、脱ぐ。止まると寒くなり、また着る、ということが起こります。
Alphaは高い通気性を持たせることで、こうした着脱をできるだけ減らし、行動中も快適な状態を保ちやすくすることを狙っています。
登山やアウトドアはもちろんですが、現在では街着でもAlphaを採用したウェアを見るようになりました。
「暖かい素材」ではなく、動いているときに快適な防寒素材と考えると、Power Gridや一般的なフリースとの違いが理解しやすくなります。
ポーラテック ウインドプロ|風への強さを高めたフリース
通常のフリースは通気性に優れる反面、風を受けると熱を奪われやすいという弱点があります。
そこで、防風性を高めたのがPOLARTEC Wind Pro(ウインドプロ)です。
一般的なフリースより風を通しにくい構造にすることで、ミッドレイヤーだけでなく、状況によってはアウターとしても使いやすくしています。
つまり、
Classic → 基本となる保温フリース
Thermal Pro → 多様な構造で保温性や表情を発展
Power Grid → 軽量・通気性を重視した中間着
Alpha → 動き続ける場面を想定した通気性の高い断熱素材
Wind Pro → 防風性を高めたアウター寄りのフリース
と整理すると分かりやすいでしょう。
POLARTECに多くの種類が存在するのは、単純に商品数を増やしているからではなく、「どんな環境で、どんな着方をするのか」に合わせて素材そのものを作り分けているからです。
ポーラテックはどこで使われている?ミリタリーとアウトドアの現場

POLARTECの特徴を理解するうえで、スペック以上に分かりやすいのが「実際にどこで使われているか」です。
代表的なのがアウトドア、そしてミリタリーの世界です。
寒い場所で長時間過ごし、場合によっては身体を激しく動かす。そんな環境では、単純に暖かいだけの服では十分ではありません。
アメリカ軍の防寒装備システム「ECWCS」に採用されている

VDS BIRDS EYEでも軍物を扱っているので、POLARTECという名前は実際の商品を通してよく目にします。
その代表例が、アメリカ軍の**ECWCS(Extended Cold Weather Clothing System)**です。
ECWCSは、寒冷地で活動する兵士のために構築された防寒ウェアのシステム。
一枚の分厚い防寒着ですべてを解決するのではなく、気温や運動量に合わせて複数のレイヤーを組み合わせることで、体温や湿度を調整します。
ここで重要になるのが、フリースのような中間着です。
保温性がありながら比較的軽く、湿気を逃がしやすく、乾きやすい。
POLARTECが持つ特徴と、軍が防寒着に求める性能は非常に相性がいいわけです。
VDSで販売しているECWCS GEN2のフリースジャケットとパンツにも、先ほど紹介したPOLARTEC CLASSIC 300が使われています。
ファッションとして見るとシンプルなフリースですが、その背景を知ると、なぜこの素材が選ばれているのかが見えてきます。

アメリカ軍 ECWCS GEN2 フリースジャケット POLARTEC CLASSIC 300
19,800円 (ユニセックスデザイン)

コヨーテ

ネイビー

ブラック
米陸軍のレイヤリングシステム”ECWCS”の第二世代(ジェネレーション2)において、5つのレイヤーで構成される中のレイヤー2にあたる通称「GEN2フリース」を復刻しました。
ボディに採用される肉厚なフリースは実物で使用されているものと同じ米国のPOLARTECのCLASSIC 300を使用。
摩擦が起きやすい肘や胸部がナイロンの切り替えになっており、ミドルレイヤーのフリースジャケットながら、単体のアウターとしても着られる完成度の高いジャケットです。

アメリカ軍 ECWCS GEN2 フリースパンツ POLARTEC CLASSIC
17,600円 (ユニセックスデザイン)

コヨーテ

ネイビー

ブラック
米陸軍のレイヤリングシステム”ECWCS”の第二世代(ジェネレーション2)において、5つのレイヤーで構成される中のレイヤー2にあたる通称「GEN2フリース」。
人気の米軍フリースジャケットにばっちりとはまるパンツをオリジナルで製作の新品未使用商品です。
ボディに採用される肉厚なフリースは実物で使用されているものと同じ米国のPOLARTECのCLASSIC 300を使用。
米軍のトレーニングパンツであるIPFUのデザインを踏襲し、摩擦が起きやすいヒップや膝部分はナイロンの切り替えになっており、フリースパンツながらタフに履けるデザインとなっています。

VDS BIRDS EYEではPOLARTECのCLASSIC 300を使用したセットアップを販売しております。
バイヤーの私はコヨーテのセットアップを購入し、上下で着て上にモッズコートを着たり、単体で合わせて使ったりと楽しんでおります。
💡 ポイント
軍物のフリースが面白いのは、「ミリタリー風に作られた服」ではなく、実際の防寒システムの中で機能することを前提に作られていることです。
アウトドアブランドが中間着(ミッドレイヤー)に使う理由
アウトドアでも考え方はよく似ています。
寒いからといって、最初から最も暖かいアウターを着ればいいわけではありません。
登山やトレッキングでは、歩き始めると身体から大量の熱が発生します。
そこで、
肌に近いベースレイヤーで汗を処理し、
その上のミッドレイヤーで保温し、
必要に応じてアウターシェルで風や雨を防ぐ。
というレイヤリングが基本になります。
フリースはこの中のミッドレイヤーとして非常に使いやすい素材です。
軽く、暖かく、湿気を逃がしやすく、乾きやすい。
さらにPower GridやAlphaのように、身体を動かすことを強く意識した素材もあります。
POLARTECの種類がこれだけ増えてきた理由も、こうしたレイヤリングの中で「どんな役割を持たせるか」を細かく考えてきた結果といえます。
「フリース=安い」というイメージだけでは分からない素材の価値
日本ではフリースが広く普及したことで、現在では非常に身近な服になりました。
数千円程度でもフリースを購入できるため、「フリース=手頃な冬服」という印象を持っている方も多いでしょう。
これはフリースという素材が広く普及した結果でもあり、決して悪いことではありません。
一方で、そのイメージだけでPOLARTECを見ると、この素材の面白さが少し分かりにくくなります。
もともとフリースは、軽く、暖かく、乾きやすく、身体を動かす環境でも使いやすい防寒素材として発展してきたものです。
そしてPOLARTECは現在も、単純な価格競争とは違うところで、用途に応じた機能素材を開発し続けています。
軍物を仕入れていると、これはとても分かりやすく感じます。
見た目だけなら「普通のフリース」に見えるECWCSのジャケットにも、POLARTEC CLASSIC 300が使われている。
つまり軍が必要としているのはブランドロゴではなく、寒い環境で実際に機能する素材そのものです。
フリースがあまりにも身近になった今だからこそ、タグに「POLARTEC」と書かれている意味を知っておくと、服の見方が少し変わると思います。
長く着るためのポーラテックのお手入れ

POLARTECは耐久性を考えて作られた素材ですが、何をしても性能が変わらないわけではありません。
特にフリースは表面に起毛があるため、強い摩擦や高温、間違った洗濯方法はできるだけ避けたいところです。
難しいメンテナンスは必要ありません。基本的には製品についている洗濯表示を優先しながら、できるだけ生地に負担をかけずに洗うことが長く着るコツです。
洗濯機で洗える?まずは洗濯表示を確認
POLARTECを使用したウェアには、家庭で洗濯できるものが多くあります。
ただし、POLARTECはあくまで「素材」です。
同じPOLARTECを使用していても、表地や裏地、ファスナー、別布など製品全体の仕様によって適切な洗濯方法は変わります。
そのため、「POLARTECだからこの洗い方で大丈夫」と判断するのではなく、まず製品についている洗濯表示を確認することが基本です。
洗濯機を使用できる場合も、ファスナーを閉じる、必要に応じて裏返す、ほかの衣類との強い摩擦を避けるなど、生地表面への負担を減らして洗うと安心です。
柔軟剤は避ける|機能を維持するためにもシンプルに洗う
POLARTECのフリースを洗う際は、基本的に柔軟剤の使用は避けた方がいいでしょう。
Polartec公式のケア案内でも、柔軟剤を避けるよう案内されています。
機能素材は、一般的な衣類のように「香りをつける」「柔らかく仕上げる」ことより、素材本来の機能をできるだけ維持することを優先して考えたいところです。
洗剤についても必要以上に多く使わず、洗剤成分をしっかりすすぐことを意識しましょう。
乾燥は洗濯表示に従う|高温を避けて自然乾燥でもOK
POLARTECのフリースは比較的乾きやすい素材です。
製品の洗濯表示で許可されている場合は低温でのタンブル乾燥が可能なものもありますが、高温で乾燥させる必要はありません。
吊り干しなどの自然乾燥でも乾かしやすいため、家庭ではこちらの方が扱いやすいでしょう。
ここでも重要なのは、製品ごとの洗濯表示を優先することです。
POLARTECという素材名だけを見て乾燥方法を決めるのではなく、そのウェア全体に適した方法で乾かしてください。
毛玉ができたときの対処と、そもそも防ぐ着方
耐久性に優れたフリースでも、摩擦が繰り返されれば表面に毛玉や毛羽立ちが出ることがあります。
特に、
- バッグやリュックが当たる肩や腰
- 腕と身頃が擦れる脇周辺
- アウターと接触する部分
などは摩擦が集中しやすい場所です。
毛玉が気になった場合は、生地を強く引っ張ったり削ったりするのではなく、表面を傷めないよう少しずつ整えます。
そして毛玉を減らすためには、取ること以上に強い摩擦を繰り返さないことも大切です。
ニットを中心に、毛玉ができる仕組みや傷めにくい取り方については「ニットの毛玉はなぜできる?」の記事で詳しく解説しています。
💡 ポイント
POLARTECだから特別に難しいお手入れが必要なわけではありません。洗濯表示を守り、高温や強い摩擦を避ける。 基本はこれだけでも十分です。
どれを選べばいい?着る場面から考えるポーラテック選び

POLARTECには多くの種類がありますが、すべての人に同じ生地が向いているわけではありません。
スペックだけを比較すると迷いやすいため、まずは**「自分がどんな場面で着るのか」**から考えるのがおすすめです。
街でアウターとして着るのか、コートの中に重ねるのか、身体を動かすときに着るのか。それによって選ぶべき素材は変わります。
普段着のアウター代わりに1枚で着るなら
秋から初冬にかけて、フリースをアウター感覚で着たい場合は、ある程度の保温性や生地の存在感があるタイプが使いやすくなります。
POLARTEC Fleece Seriesの中なら200や300といった比較的しっかりしたタイプが候補になります。
生地そのものに表情が欲しい場合は、Thermal Proも面白い選択肢です。
また、風を受ける場面が多いならWind Proのように防風性を高めた素材も選択肢になります。
ただし、通常のフリースは通気性が高い反面、強い風には必ずしも強くありません。
「暖かそうだから」という見た目だけではなく、どんな環境で着るのかまで考えると選びやすくなります。
コートやジャケットの下に重ねるなら
冬のミッドレイヤーとして使うなら、厚ければ厚いほどいいわけではありません。
厚手のフリースをコートの下に着ると、暖かくても腕周りが動かしにくくなったり、室内では暑すぎたりすることがあります。
こうした用途なら、軽量なFleece SeriesやPower Gridなどが候補になります。
身体をよく動かすのであれば、通気性を重視したAlphaという選択肢もあります。
大切なのは、一枚で最大限暖かくするのではなく、重ね着した状態で快適かどうか。
これはアウトドアやミリタリーのレイヤリングにも通じる考え方です。
本物の軍用フリースを選ぶという選択
ファッションとしてPOLARTECを楽しむなら、軍用フリースをルーツに持つ一着を選ぶのも面白いと思います。
VDS BIRDS EYEでは、アメリカ軍のECWCSをはじめとしたミリタリーウェアを扱っています。
中でもECWCS GEN2 フリースジャケット/フリースパンツは、POLARTEC CLASSIC 300を使用した代表的なアイテムです。
見た目は非常にシンプル。
しかし、なぜこの厚さなのか、なぜフリースなのか、なぜレイヤリングの中に組み込まれているのか。
背景を知ってから見ると、そのシンプルさにもきちんと理由があることが分かります。
US-TYPE ECWCS Gen3や、ヨーロッパの軍物を含め、ミリタリーの防寒着には「見た目を作るためのディテール」ではなく、必要だからそうなっているディテールが多くあります。
VDSで軍物を仕入れていて面白いと感じるのも、こういうところです。
価格やブランドネームだけではなく、実際にどんな目的で作られ、どんな素材が選ばれているのか。
同じように暖かい服を選ぶのであれば、素材や背景まで知って選んだ一着は、長く付き合える服になりやすいと思います。
ポーラテックに関するよくある質問

最後に、POLARTECについてよくある疑問をまとめます。
ポーラテックは普通のフリースより暖かいですか?
必ずしも「POLARTECならすべての一般的なフリースより暖かい」とは限りません。
POLARTECには軽量なものから高保温タイプまでさまざまな種類があります。
重要なのはブランド名だけではなく、どのシリーズを、どのような用途で使うかです。
POLARTEC 100・200・300は何が違う?
Fleece Seriesにおける重量・保温性の違いを分かりやすく分類したものです。
100は軽量、200は中程度、300はより保温性を重視したタイプと考えると分かりやすいでしょう。
数字そのものが生地の厚さをミリ単位で示しているわけではありません。
ポーラテックは毛玉ができませんか?
POLARTECでも毛玉や毛羽立ちが発生することはあります。
摩擦の強さや着用頻度、洗濯方法などによって状態は変わるため、「POLARTEC=毛玉が絶対にできない」ということではありません。
ポーラテックは洗濯機で洗えますか?
家庭で洗える製品は多くありますが、必ずその製品の洗濯表示を確認してください。
POLARTEC以外の素材やパーツも含めて一着の服が作られているため、素材だけで洗濯方法を判断しないことが大切です。
ポーラテックはアウトドア専用ですか?
いいえ。
アウトドアやミリタリーで高く評価されてきた素材ですが、現在では日常着やファッションブランドのウェアにも幅広く使われています。
むしろ機能性を普段着に取り入れられることもPOLARTECの魅力です。
古着のPOLARTECでも性能は残っていますか?
古着だからという理由だけで、すぐに機能がなくなるわけではありません。
ただし、使用状況や洗濯回数、保管環境などによって生地の状態は異なります。
中古品や軍放出品を選ぶ場合は、起毛の状態、毛玉、摩耗、生地の薄くなった部分などを確認するといいでしょう。
この記事のポイント
💡 ポイント
・現代的な合成フリースの原型は、POLARTECの前身であるモールデン・ミルズが1981年に開発
・POLARTECは服のブランドではなく、機能素材を開発する素材ブランド
・暖かさだけでなく、軽さ・通気性・速乾性・耐久性などを用途に合わせて設計している
・Fleece Series、Thermal Pro、Power Grid、Alpha、Wind Proなど、それぞれ役割が異なる
・アメリカ軍のECWCSにもPOLARTECが採用されている
・VDSで扱うECWCS GEN2フリースにはPOLARTEC CLASSIC 300を使用
・洗濯や乾燥は「POLARTECだから」ではなく、製品ごとの洗濯表示を優先する
まとめ|フリースを見る目が変わる「POLARTEC」という素材

フリースは、今ではとても身近な服になりました。
だからこそ、単に「安くて暖かい冬服」というイメージだけで見てしまうこともあります。
しかし、その歴史をたどると、フリースは軽さや保温性、乾きやすさなどを追求して生まれた機能素材です。
その発展を長く支えてきたのがPOLARTECでした。
Classic、Thermal Pro、Power Grid、Alpha、Wind Pro。
これだけ多くの種類が存在すること自体が、POLARTECが「暖かいフリースを作る」だけではなく、着る人がどんな環境で、どう動くのかまで考えて素材を作ってきたことを表しています。
個人的には、軍物を扱っているとPOLARTECの面白さがとても分かりやすいと感じます。
ECWCS GEN2のような一見シンプルなフリースにもPOLARTEC CLASSIC 300が使われている。
そこには流行だからでも、ブランドロゴを見せるためでもなく、必要な性能を得るためにその素材を選んだという背景があります。
服を選ぶとき、デザインやブランドを見るのはもちろん楽しいものです。
そこからもう一歩踏み込んで、「何の素材で作られているのか」まで見てみる。
POLARTECは、そんな服の見方を面白くしてくれる素材のひとつだと思います。
ファッションの着こなし・お手入れに役立つコラムも公開中

VDS BIRDS EYEでは、洋服を長く楽しむためのお手入れ方法や、素材の特徴、着こなしについても紹介しています。
ニットだけでなく、Tシャツやデニム、キャップ、靴下など、普段何気なく着ているアイテムも、扱い方を少し知るだけで付き合い方が変わります。
気になる記事があれば、ぜひあわせてご覧ください。